浅瀬からこんにちは

沼って言える程でもない みたものきいたものの 記し場所。

ボーイバンド 感想

10/31 サンケイホールブリーゼ 13:00 2階席 / 17:00 1階席後方

ジャージー・ボーイズやドリームガールズなどの人気作を多数世に送り出した作家・ピーター・キルター氏の原案舞台。

大変辛口な感想になりますが、日本を舞台に、日本の若者たちを描くならもうちょっとなんとかならなかったのかな?というのが正直なところです。

 

総評

まず演目タイトルがボーイ「バンド」なのに主演5人のグループ「Freedom」はバンドじゃない。ジャパニーズナンバーワンボーイバンド!と紹介されつつどういう立ち位置で芸能活動をしているのか全くわからない。

トップに登り詰めたボーイズたちがトキオドームで満員の観客を前に昔語りを始めるところから物語がスタート。しかし困ったことに5人にスターのオーラが全くない。辛い。まずこのサンケイホールブリーゼ内を納得させられてない。

話が進むにつれ、結成時は上手くやっていたメンバー間の亀裂が見えてくる。メンバーそれぞれが抱える問題も表面化して、マスコミは彼らの暗部をあぶり出そうと躍起になる。その問題が舞台の現代日本と、「アイドル・Freedom」と全くマッチしていない。説得力が無い。

メンバーリュウが作ったFreedomの曲=邦楽ヒットチューンのカバー が、曲調も曲が持つイメージもバラバラ過ぎてFreedomがどこに向かいたいのか、いりがさんがどういう方向に彼らをプロデュースしたいのか全くわからない。

「全く~ない」ばかりですいません。初見の一幕はこれらの設定に頭が着いていかずにぽかーんとしてました。繰り出される曲の微妙さに怒りさえこみ上げてきて、キンブレを曲途中でカバンにしまいました。楽しみに用意してきたのに~。

1階席だったらまだ盛り上がる空気だったのかもしれませんが、2階席だったのも悪かった。サンケイホールブリーゼはとても高低差がある劇場で、ステージと2階が遠いのです。無理矢理にでも2階席へ来てくれる演出があったらだいぶ違っただろうにな。

 

わたしとしては何がダメだったかと考えると、物語の重要なファクターとしてつかわれる「メンバーの問題」がフェリーで行けない海外すぎたこと。元は海外脚本だから仕方無いんですが。程度でなんとかならなかったのでしょうか。

たとえば若手俳優をキャッキャかわいがって見てたら横っ面をはられる入賀さんの「恋愛とセックスは禁止だ。」ステージのFreedomがフリーダムじゃなくキャストにしか見えないことも相まって、あの、普段、この子たち、そういうの微塵も臭わせないような、努力を、求められる、界隈にいるので… って、どんびいてしまった。

少し関係ないのですが私、大好きなダンサーさんが居まして。その方(女性です)が子供の頃からネットで追っかけてまして。彼女は私の見込んだとおり(ドヤ)大成して、大人になった今、海外で活躍していらっしゃいます。そして彼女のオープンなInstagramにはBoyfriendとの仲むつまじい写真が、日々大量にアップされています……。わかっているのです。本来隠す方が不自然だって。海外ではおそらく隠すなとか言われないんだろうな、彼氏の存在を明らかにしておく方が大人のマナーなんだろうなと。でもなんというか、プライベートの恋愛だのおセッだのを臭わせないでいてくれると、嬉しいかもしれないって。舞台の上に立った時、役と中の人を混同しちゃいそうで。すごく勝手ですが。そういうの、見なくていいな?って思っちゃう、辺境の中学生島国民族脳なんです。


なのでフリーダムにも!セックルとその辺りの下ネタノーサンキューだった!そこだけグローバルに活躍してる風感出すの違うだろと。ヤリチンのソースケ(平野良)をたしなめるシーンも、「お前は自分のペニスでダメにする気か?」って、ふ、ふしぜんにペニス~!ってなってしまったし、メンバーのストレス解消にその辺にいる女見繕って部屋に放り込んでセックスさせろ!みたいなのも違うなーと感じました。ゲイ(セクシャルマイノリティ)のカミングアウトやドラッグとヤク中、隠し子問題も同じ。味方のゲンが隠し子ってまったく想像がつかなかったんだけど…中学校で2年先に卒業した女の先輩に逆レイプでもされてハメられたの?
退廃的な格好良さや色気を目指して失敗、ただ品のないままで終わってしまっていた気が。脚本のせいなのか役者の演技のせいなのかわかりませんが。

 

それと重箱の隅をつつくようで失礼しますがどうしても気になったのが、リュウ大山真志)が夜な夜なクラブで大暴れ!のニュース映像で写される店、学生街のガールズバーか場末のラブホすぎた。そのシーンの時系列、もうフリーダムそこそこスターだったよね?もうちょっといいセットで撮れなかったのかYO!!!
「そこなら上手に嘘をつけるでしょう?」という箇所で手を抜いた嘘をつかれると、心底がっかりです。

 

楽しかった~!という好意的な感想を多く見た作品だったので、自分の感じたことはおそらく少数派でしょう。しかしもし新納さんのいうように再演があるのならば、脚本フルリニューアルにもっと輝かしいオーラのある若手つれてきてくれよ…と願わずにはいられません。今回、大好きな推しが居ましたけど…(笑)

キャスト別感想

ソースケ(平野良)間の取り方が。上手い。巧さは天性のものなのかな。30オーバーに見えないかわいらしいやんちゃ坊主演技、歌も安定してました。

リュウ大山真志おしりを出した子一等賞、ですね…。キレのあるダンスをもっともっと見たかったし、デイドリームビリーバー最高だったのでもっと歌を聞きたかった。そしていまごろ一生分「痩せろ」って言われてると思うので、同じデブとして胸が痛いです。痩せろ。

カツミ(藤田玲カツミと聞くと危険な女神を思い出す世代でして、はいいとして、美しいお顔に色気があってうっとり。ドラッグに段々溺れていく演技に引きつけられました。夜空のムコウはSMAPともシカオちゃんとも違うスタンダードにしたいくらいよかったです…

ゲン(味方良介)痩せた!!!!!すごく痩せた!!!!!!10代の頃みたい!!!!!かっこいい~(。>﹏<。)ってオペラグラス覗きっぱなしでした。野鳥の会。恋ブロでは辛口コメントを書いたのですが、その後のちっちゃな英雄がとてもよい経験になったみたい。一皮むけました。前に出たがる演技から少し抑えた役ができるようになって、嬉しかった!少し成長した、かっこいい味方を見るためにチケ代を払ったと思ったら惜し…惜しくな…惜しいけど(笑)。ゲンメインの歌がカテコまでなくてちょっとさみしかったかな-。

サクヤ(碓井将大初めて見る役者さんだったのですが、とても透明感があって立ち姿が綺麗ですね。きっと今まで辛い恋愛をたくさんしてきて、ちょっと大人にならざるをえなかった、そんなサクヤがぴったりはまっていました。ダンスも素敵でした!

 

新納伸也さん・伊礼彼方さん・蒼乃夕妃さん
THE・ミュージカル俳優の無駄遣い。歌える踊れる人がそろってる大人チームが歌わない踊らないのは勿体ない、と思ってしまうのはフリーダムが弱かったからだと思うので…。
演技で魅せることの素敵さを味わわせてくれて、難しさも実感させてくれて、贅沢でした。カテコで歌ってくれたのは嬉しかったのですが、帝一やママ僕や宝塚みたいにキャスト全員で歌って踊るアンコールソングがあったらな~!とも思いました。

KENさん・東啓介(とんちゃん)
無駄遣いはここにも。正直この役にとんちゃんを持ってくる意味、とは…?と考えながら、しかしオカマ/DJ/女装/先輩相手に日替わりととんちゃんはよく頑張りました。とにかく背が高く、手足の長さが異次元。加えて美声といいルックスなので、今回の経験を次に生かして、すっごくいい役者さんになって欲しいです!KENさんは女装がとみに最高でしたwしかしウォンテッドの時のダンスが素晴らしかったので、また見たかったな~!